理事長メッセージ

 少子高齢化が進み、国の経済力が相対的に低下する現在、今ほど日本がグローバルに活躍できる人材を必要としている時代はありません。さもなければ、国際的に重きをなす日本のプレゼンスが確保できないからです。グローバルに活躍できるためには、柔軟な思考、チャレンジ精神に加えて、なんといっても十分なコミュニケーション能力が不可欠です。しかも、現下の国際関係にあって、英語によるコミュニケーション能力なくして、縦横に活躍できる場は少ないと言っても言い過ぎではないでしょう。これは、長年多くの国際機関での勤務を通じて、肌で感じた私の率直な思いです。私たち日本人は、もっとコミュニケーション能力を向上しなければならないと痛感します。

 日本の街々に外国人の姿を見ることが多くなり、外国人や英語に対する日本の若者の態度は、ひと昔前と比べて格段の変化を見せています。多様性に対する許容度が高まった感じが致します。このようなトレンドをさらに進めて、日本人が世界中の人々に愛され、尊敬されるように、英語によるコミュニケーションを通じた交流の広まりを期待したいと思います。確かに、AIや新しいテクノロジーは、情報の流れを加速させていますが、心に響く言葉は、やはり人と人との接触によってしか届かない気がします。そのような言葉を難なく自由に発せられる人材の育成を私たちは応援したいと願っております。
 日本人の英語コミュニケーション能力の向上を目指して、1956年に発足した英語教育協議会(ELEC)は、英語教員のための研修、中高大学の英語教育支援、法人・自治体向けの英語研修、音声教材の制作、学校での英語教育に役立つ様々なウエブサイトでのプログラム、東京都の「英語村」への協力などを実施しております。私たちのプログラムを、ぜひ大いにご活用いただきたいと思います。そして、ご一緒に、英語のコミュニケーション能力を向上しましょう。

理事長プロフィール

プロフィール:
大阪府出身。京都大学、ケンブリッジ大学卒。1971年に外務省に入省。1988年GATT(WTOの前身)事務局、1993年世界保健機関(WHO)事務局、2000年に国連日本政府代表部大使を務める。2003年に経済協力開発機構(OECD)事務次長、2007年から2012年まで国連広報担当事務次長(広報局長)。2012年より2020年まで、公益財団法人フォーリン・プレスセンター理事長。近著に、「国際機関で見た「世界のエリート」の正体」(中公新書ラクレ)、「世界のエリートは人前で話す力をどう身につけるか」(河出書房新社)がある。