[ELEC出前研修報告書]
4.和洋国府台女子中学校高等学校

ELEC出前研修

ELECでは2015年度より英語科教員の指導技術向上のために、求められる知識や技術を提供する「ELEC出前研修」(授業改善のための専門家派遣事業)を実施しています。英語教育の専門家(大学教授や教員研修指導経験者)が継続的に学校を訪問し、先生方の疑問・課題と実際の授業内容を踏まえた指導助言や研修を行っています。

和洋国府台女子中学高等学校では2015年度から独自のラウンドシステムの構築をテーマに、研修を重ねてきた。3年目となる今年度は新プログラム(和洋ラウンドシステム)の実施にあたり、各ラウンド毎に問題点や疑問点を発見・解決し、システムの完成を目指している。以下に学校からの報告書を掲載する。

第1回目 2017年5月25日(木)

(1)研修内容

2名の教諭による中学1年の授業のVTRを見てフィードバック。

教材:ColumbusⅠ ラウンド1

  • “Very Good”などのほめ言葉をもっと入れよう。
  • 声を出させるのには斜めペアが良い。
  • たまに日本語を入れるのはOK → 数分で英語に切り替える
  • 語順(並べ替え)のチェック必要。
  • 中2のリテリングが丸暗記にならないためには?
    意味がわかって内容をイメージしながら読めているか、生徒の理解度を確認すべき=キーワードが言えているか、近くによってしっかり見ることが必要。
  • 中2の中頃に急に難しくなる。夏HW=CDを聞いてLook Upして読むなど、毎日少しずつやるべき課題を与える。中1・2は与えたものはすべて残るようにする。
  • 中1で全員5級を取ろう。
  • 高校1年コミュ=中学既習事項に負荷をかけて定着させる。コアラーニング
    (例)単語カードを配布し、並べかえて文を作る。
    1人の生徒が英文を聞いてシャドーイングし、それを他の生徒が書き取る。

(2)感想

和洋ラウンドシステム授業を開始して約1ヶ月が経った。担当者2名の授業は、生徒の信頼を得て、相互交流ができていると感じていたが、今回、金谷先生から合格点をいただけて一安心した。ラウンド1が正念場なので、担当者が率直に質問する機会をいただき感謝している。金谷先生が計画しておられる8月2日か10日のラウンドシステム実施校の集まりに参加し、情報交換をしたい。
(現在ラウンド実施校 熊谷市16 横浜市2 高知県1)

第2回目 2017年7月15日(土)

(1)研修内容

ラウンドシステム1学期のまとめ報告
  • おおむね順調にいっている。
  • 毎日の復習は保護者を巻き込んで成功(チェックをもらうなど)。
  • 生徒の感想―ラウンド2で聞き取れる単語が多くなり、楽しい。
  • 定期考査平均点―意図的に高くしている。(80点位)
  • 授業の悩み
    • Active phonicsの入れ方 
    • 個人の発表活動(1対30)はするべきか。
    • R1後半で苦戦 
    • R2活動においてハイレベル生徒対策は?
    • 定期考査は妥当なのか?
ラウンド2のデモンストレーション
  • CDを聞いて、話の筋に沿って英文を並べ替える。
    2名の教員による授業VTRを見ながら質疑応答
  • 中1では、単語の意味の説明(usually/different)は最初から日本語で教えてよい。
    中3では文脈でわからせるのがよい。
  • 宿題は、出来る生徒しか取り組まないので、授業時間内で沢山練習させるのがよい。
金谷先生より授業の悩みについてのアドバイス
  • もともとphonicsはネイテイブが綴りを覚えるために考案されたものだから中1で無理に入れなくてよい。ある程度単語が身についてから入れた方がよい。
    小学校で経験済みの生徒もいる。
  • 一人が発表しているのを30人が聞いているのは時間がもったいない。1対1にして、ペアをかえるなどして練習量を増やすべき。何回も練習すると、自然に皆の前でもできるようになる。
  • R1後半は内容が難しくなるので苦戦するのは当然。
  • レッスン全部の並べ替えは、カルタ感覚で生徒が楽しんでいるのでOK。
  • リスニング中心で30分位+感想のテストでOK。皆が80点位取れれば良い。

(2)感想

和洋ラウンドシステム授業を開始して1学期が終了した。両クラスとも生徒は、授業を楽しんでいるようである。ラウンド1の後半が一番の難所だが、担当者の努力により乗り越えることができ、金谷先生から合格点を頂くことができて安心した。
ラウンドシステムは、授業内での練習量を多く確保することが成功のカギであるとのこと。教科書外の事項は5~10分で、あとは全て教科書の内容を膨らませて(自分の話を入れるなどして)使うのがよい。どの教科でも、教科書のみで授業を構成するのは、高い授業力が求められる。また、「さあ今から勉強だ」という雰囲気でなく、英語での雑談から、気づいたら教科書に入っているというのが横浜方式である。ラウンドのみでなくどの授業でも教員が出過ぎずに(自己満足のみ)、生徒の練習量を増やす授業をすべきであると思った。