英語教育の質向上を目指し、昨年12月に開催された「冬期英語教育研修」は、年末の忙しい時期にも関わらず、大盛況のうちに幕を閉じました。
本記事では、神戸市立葺合高等学校の宮崎貴弘先生による研修の内容をご紹介します。
宮崎先生の貴重な講義から得られた学びを、読者の皆さまの英語教育にも役立てていただければ幸いです。

「生徒から学ぶ、言語活動で表現力を育てる教師の役割」(2024ELEC冬期研修会にて)
宮崎先生が提案する、英語教育における教師の役割は、生徒に対してただ英語を教えるだけでなく、生徒が自己表現を通じて成長できるような環境を作ることにあります。宮崎先生が研修で強調した教師の意図、行動、そして生徒とのインタラクションがどのように授業を支え、表現力を育むのかを深掘りします。
教師の意図と行動
宮崎先生が大切にしているのは、指導内容の多角的なアプローチです。音読や文法、語彙、読解、リスニングといった基本的なスキルを包括的に指導し、1時間の授業デザインや年間指導計画を緻密に立てます。なぜその内容を教えるのか、どのタイミングで行うのか、何のために学ぶのかを常に意識し、生徒が意欲的に学びたくなるような授業を展開します。教科書は思考を深めるための材料として使われ、出力場面で生徒の成長を促進する場として活用されます。
生徒が取り組みたくなるタスク
生徒が英語で自己表現をし、思考を深められるようにするためには、彼らが興味を持つ課題を提供することが重要です。例えば、オーストラリアでのホームステイを想定し、文化を紹介するタスクを設定することで、生徒は自分の考えを英語で表現する意欲を高めます。このような課題は、生徒にとって現実味があり、さらに文化的背景を学ぶことができるため、学びへの興味を引き出します。
生徒を伸ばすインタラクション
宮崎先生は、生徒を伸ばすためには、教師と生徒のインタラクションが不可欠だと強調します。生徒が思考を深めるための「情報・知識・経験」を提供し、その中で自由に思考できる場を作ることが求められます。また、教師の発言は生徒のインプットとなり、逆に生徒の発言が教師のインタラクションの中で評価され、励まされることで、生徒の自己表現が豊かになります。
授業デザインと思考の促進
授業をデザインする際、生徒に考えさせる「問い」を設定することが重要です。この問いは複数の答えが考えられるような内容で、生徒の思考を深める場を繰り返し提供します。また、他の生徒の意見を考える材料として活用し、集団で学ぶ力を育てます。教師と生徒が共に考え、意見を交わしながら学ぶことで、生徒はより深い理解を得ることができます。
評価と振り返り
評価方法として、宮崎先生は学習としての評価(Assessment of Learning)、学習のための評価(Assessment for Learning)、そして学習としての評価(Assessment as Learning)を組み合わせて使っています。重要なのは、生徒自身が振り返りを通じて自分の成長を実感できるようにすることです。評価は生徒の学びの過程を支えるツールとして活用し、彼らが自信を持って次のステップに進めるようサポートします。
結論
宮崎貴弘先生が語る授業の設計や教師の役割は、単に英語を教えることにとどまらず、生徒が自己表現を通じて成長するための環境を作り出すことにあります。教師は、生徒が興味を持つタスクを提供し、自由に思考できる場を整え、インタラクションを大切にしながら学びの深度を高める役割を果たします。このようなアプローチによって、生徒は英語を使って自分の考えを表現し、積極的に学び続けることができるのです。
(文責:英語教育研究所)
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