みなさん、こにちは!! 11月のinshgtsではカナダのカミンズが提唱した第二言語習得に関した重要な2つの概念「BICS(Basic Interpersonal Communicative Skills):基礎的対人コミュニケーション能力」と「CALP(Cognitive Academic Language Proficiency):認知的学習言語能力」について調べてみました。
日常会話と学問的な英語、実は違う能力? - BICSとCALPについて
まずは言語学習についての面白い概念「BICS」と「CALP」について学びを深めたいと思います。これは、カナダの言語学者ジム・カミンズが提唱したもので、特に第二言語を学ぶときに、どんなスキルが必要かを分かりやすく説明してくれています。
まず、私たちはよく「日常会話ができれば、その言語が使える」と考えがちですが、実はそれだけでは不十分。なぜなら、日常会話と学問的な場面での言語スキルは全く別物だからです。では、それを分けているのが何かというと…「BICS」と「CALP」という二つの言語スキルだというのです。
BICSとは、基礎的対人コミュニケーション能力のこと。簡単に言うと、友達とのおしゃべりや買い物、簡単な自己紹介など、日常生活で使う会話スキルを指します。具体的な文脈やジェスチャーに頼ることが多いので、例えば「これ、すごく美味しい!」とか「どこ出身?」といった会話なら、すぐに使えるようになるのがBICSです。
第二言語を学んでいる人でも、だいたい2〜3年でBICSを身につけられると言われています。だから、英語を勉強している人が早く流暢に話せるように見えることがあったりします。でも、その裏に隠されたもう一つの能力が重要なのです。それが次にでてくるCALPです。
CALPとは、認知的学習言語能力を指します。これができるようになると、授業でのディスカッションや、レポートを書くときに必要なスキルを使いこなせるようになると言うのです。例えば、数学や科学、社会学のような抽象的で複雑な概念を説明したり、学術的な文章を書いたりするときに必要なのがCALPということになるでしょうか。
このスキルはBICSよりも習得に時間がかかり、5〜7年、あるいはそれ以上かかることもあるそうです。専門的な用語や複雑な論理を理解し、表現する必要があるため、BICSとは異なり、しっかりとしたトレーニングやサポートが必要だということがわかりました。
日本の英語教育とBICS・CALP
ここで、日本における英語教育を考えてみましょう。学校では文法や単語を覚えることに力を入れがちですが、それはどちらかというとCALPに近いもの。しかし、日常会話に近いBICSのスキルを鍛える機会は少ないともいえるので、逆に、日常会話に焦点を当てることが多いと、大学受験や専門的な学問を学ぶ場面で困ってしまうことも。
この2つのスキルをバランスよく鍛えることが、第二言語を本当に「使いこなす」ためには大切なのだと思いました。どちらか一方だけでは不十分なので、日常の会話練習も、しっかりとした学問的な内容のトレーニングも、どちらも欠かせないということがわかりました。